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猫のよだれ(流涎)について
猫のよだれ(流涎:りゅうぜん)は、通常よりも過剰に唾液を分泌し、口の周りやあごの下が濡れてしまう状態を指します。猫は犬と比べてよだれを垂らすことが少ない動物ですが、何らかの異常がある場合によだれが増えることがあります。リラックスや満足感・美味しそうな匂いや食べ物の刺激・ストレスや興奮による生理的な場合もあります。病的なものも多く原因はさまざまですが、異常なよだれが続く場合は注意が必要です。
猫のよだれの症状
猫のよだれには、以下のような症状が伴うことがあります。
- 口元やあごの下が常に濡れている
- 前肢で頻繁に口をこする
- 食欲の低下や飲み込みにくそうな様子がある
- 口臭が強くなる
- 元気がなくなる、ぐったりする
- 口を開けたままにすることが増える
- 嘔吐や下痢を伴う場合もある
このような症状が見られる場合、病気が原因となっている可能性がありますので、早めの診察が必要です。
猫のよだれの原因
1. 口腔内の異常
猫のよだれの最も一般的な原因は、口腔内の問題です。
- 歯周病:歯石が溜まることで歯肉炎や歯槽膿漏(しそうのうろう)を引き起こし、よだれが増えることがあります。
- 歯の吸収病変(歯の溶解):猫特有の歯の病気で、歯が溶けてしまう疾患。見た目は虫歯のように見え、強い痛みも伴う。
- 口内炎:猫エイズウイルス感染や猫白血病ウイルス感染による免疫異常により、口内の粘膜が炎症を起こし痛みを伴うため、よだれが増加します。
- 歯の異常:折れた歯や歯の生え方の異常によって口腔内に痛みが生じ、よだれが出ることがあります。
2. 異物の誤飲や中毒
猫が異物を誤って飲み込んでしまった場合や、有害な物質を摂取した場合にもよだれが増えることがあります。
- ひも状の異物:猫はひも状のものを誤って飲み込みやすく、消化管に引っかかると危険です。
- 有害な植物:ユリやポトスなどの観葉植物は猫にとって有毒で、口内の刺激や中毒症状を引き起こします。
- 化学物質:洗剤や農薬、チョコレートや玉ねぎなどの食品を誤食すると、中毒を起こしてよだれを垂らすことがあります。
3. 感染症や全身疾患
- 猫カリシウイルス感染症:猫風邪の一種で、口内炎や鼻炎を引き起こし、よだれが増えることがあります。
- 腎不全:腎臓の機能が低下すると、尿毒症により口腔内に潰瘍ができ、よだれが増加します。
- 肝疾患:肝臓の病気もよだれや口臭の原因になることがあります。
猫のよだれの診断
動物病院では、よだれの原因を特定するために必要に応じて以下の診断を行っていきます。ただ、噛みつくことのある猫では口腔内のチェックを無麻酔で行うことが困難な場合もあり、飼い主様と相談の上、検査を全身麻酔下で行っていきます。
- 問診と視診
- いつからよだれが増えたか、他に異常はないかを飼い主様に確認します。
- 口腔内をチェックし、歯や粘膜の状態を確認します。
- 血液検査
- 腎臓や肝臓の異常、中毒の有無を調べるために血液検査を実施します。
- X線・超音波検査
- 歯の吸収病変が疑われる場合には歯科用X線検査にて歯の状態を確認します。
- 異物の誤飲が疑われる場合は、X線検査で消化管の異常を調べます。
- 腫瘍や全身疾患がないかを確認するために超音波検査を行うこともあります。
- 細菌培養・ウイルス検査
- 口内炎の原因が細菌やウイルス感染によるものかを調べるために検査を行うことがあります。
猫のよだれの治療
治療は、原因に応じて異なります。
1. 口腔内の治療
- 歯周病の治療:歯石除去や抜歯を行い、抗生剤を使用することがあります。
- 口内炎の治療:抗炎症剤や疼痛緩和の治療を行います。
2. 異物誤飲や中毒の治療
- 異物が胃や腸にある場合、内視鏡や手術で取り除きます。
- 中毒症状がある場合は、点滴治療や解毒剤を用います。
3. 感染症や全身疾患の治療
- 猫カリシウイルス感染症:抗ウイルス薬や抗生剤、免疫をサポートする治療を行います。
- 腎不全:点滴や食事療法を行い、腎機能をサポートします。
- 肝疾患:肝臓を保護する薬や食事管理を行います。
まとめ
猫のよだれは、単なる生理的なものではなく、病気のサインである可能性もあります。特に、口臭が強くなったり、食欲が低下したりする場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。
当院では、猫のよだれの原因となる様々な病気の診断と治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。
また、当院ホームページ内の歯科にも記載しております。そちらもあわせてご覧ください。
