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猫の血便について
浜松市中央区にあるけんご動物クリニックです。
今回は猫の血便についてご説明させていただきます。
血便は赤く鮮やかな血が便の表面に付着している場合(鮮血便)が多いですが、黒くタール状の便(メレナ)として排泄されることもあります。いずれも消化管のどこかに出血があることを示しており、軽度の炎症から命に関わる病気までさまざまな原因が考えられます。
通常の固さの便に赤い血が混じる血便は 猫にとってよくある症状の一つですが、下痢などの症状を伴う場合、病気のサインとして重要な手がかりとなることもあるため、注意が必要になります。
猫の血便の症状
血便とあわせて以下のような症状が見られることがあります。
- 軟便や粘液便や水様便
- 嘔吐
- 食欲不振
- 排便時に痛がる、いきむ
- 元気消失
- 体重減少
- 肛門の出血や腫れ
特に、繰り返している血便や黒色便、元気や食欲が低下している場合は、早急な受診が必要です。
猫の血便の原因
猫の血便にはさまざまな原因があります。主なものは以下の通りです。
1. 一時的な腸の刺激
- 食べすぎ・硬い便による粘膜刺激など
便の形や硬さが通常通りで表面に赤い血が点々と付いている場合、多くは肛門や大腸のごく近い部分(下部消化管)での出血です。
血の色が鮮やかな赤色であれば出血が比較的新しいことがわかり、そして肛門や大腸のごく近い部位からの出血であることが推測されます。
2. 消化器の炎症性疾患
- 腸炎(細菌性、ウイルス性、寄生虫性など)
- 炎症性腸疾患(IBD)
- 直腸や肛門周囲の炎症
2. 食事や異物の影響
- 急なフード変更による消化不良
- アレルギーによるもの
- 異物誤飲による消化管損傷
3. 寄生虫感染
- 回虫、条虫、鉤虫、コクシジウムなどの腸内寄生虫の感染により出血性腸炎を起こすことがあります。
4. ストレス性の腸炎
- 引っ越し、家族構成の変化、多頭飼育などによるストレスが腸内環境を乱し、炎症や出血を引き起こす場合があります。
5. 腫瘍(がん)
- 消化管のリンパ腫や腺癌などの悪性腫瘍が出血を伴うことがあります。
6. 肛門嚢炎や裂傷
- 肛門周囲にある「肛門嚢」が炎症を起こすと、排便時に血が混じることがあります。
猫の血便の診断
血便の原因を特定するために、必要に応じて以下のような検査を行っていきます。
1. 問診と身体検査
- 便の色や状態、頻度、伴う症状について伺います。
- 食事内容について変更してないか、拾い食いしてないかを伺います。
2. 糞便検査
- 寄生虫、細菌が便に出ているかを顕微鏡で確認します。
3. 血液検査
- 炎症反応や貧血、脱水の有無などを確認します。
4. 画像診断(X線・エコー)
- 異物や腫瘍の存在、腸の腫れ、液体貯留などを評価します。
5. 内視鏡検査・生検
- 炎症性腸疾患や腫瘍などの詳細な診断が必要な場合に行われます。
猫の血便の治療
血便の治療は、原因によって大きく異なります。
1. 薬物療法
- 下痢止めや整腸剤の投与。
- 抗生物質(細菌性腸炎に対して)の投与。
- 駆虫薬(寄生虫感染がある場合)の投与。
- 抗炎症薬や免疫抑制剤(IBDなどに対して)の投与。
2. 食事療法食
- アレルゲン除去食、消化器サポート食、低脂肪食などを使用することがあります。
3. 腫瘍治療
- 抗がん剤治療や外科的切除を行う場合もあります。
4. ストレスケア
- 環境改善、フェロモン製剤、サプリメント、ストレス低減のための行動療法など
血便を発見した場合
新鮮便から便検査を行いますので、便を持参されなくてもよいですが、寄生虫がでたときには確認のため持参して頂いた方がよいです。
特に、以下の場合は早めの受診をおすすめします。
- 血便が繰り返される。
- 食欲がない、ぐったりしている。
- 黒色便(メレナ)が出る。
- 嘔吐や下痢もある。
- 子猫や高齢猫の場合。
まとめ
猫の血便は一過性の軽い炎症から、重篤な消化管疾患、腫瘍までさまざまな原因があります。自己判断で様子を見るのは危険ですので、早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
けんご動物クリニックでは、猫の血便の治療を行っておりますので、お悩みの場合は一度ご相談ください。
また、当院ホームページ内の、消化器科、軟部外科・整形外科もあわせてご覧ください。


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