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犬の口の臭い(口臭)が気になるときは?

浜松市中央区のけんご動物クリニックです。

今回は、犬の口の臭い(口臭)についてご紹介します。

犬と暮らしていると、「最近、なんだか口が臭う気がする…」と感じたことはありませんか?
実は、犬の口臭にはさまざまな原因があり、中には病気のサインとなることもあります。

犬の口が臭う理由

ヒトの口腔内は酸性ですが、犬の口腔内はアルカリ性のために細菌が繁殖しやすい環境になります。

主に口腔ケアを日々していないことが理由で口臭がおきてきます。犬が食事をすると、食べかすが歯や歯周ポケットに残り、細菌が増殖し、口腔内の炎症がおこります。

口腔内の炎症によって口腔粘膜からはがれた上皮細胞、唾液、歯垢中のタンパクやアミノ酸が口腔細菌により分解されて、硫黄化合物(チオール)などが産生されたことで口臭が発生します。

また、歯周病に罹患すると全ての傷病のなりやすさが犬の場合1.4倍に上がります。なお、猫は2.7倍に上がります。

犬の口臭がおきている時には

以下のような状態が見られますので、注意が必要です。

  • 生ゴミのような強い臭い
  • 血なまぐさい臭い
  • よだれが多く、口元が汚れている
  • 歯茎が赤く腫れている(歯肉炎)
  • 歯が長くなったように見える
  • 歯に黄色や茶色の歯石がついている
  • やわらかいフードを好んで食べるようになる
  • 食欲が落ちている
  • 口を気にして前足でこすったりする

このような場合は、何らかの疾患が口腔内や体内で進行しています

犬の口臭の原因

犬の口臭の主な原因は、大きく分けて以下になります。

1. 歯周病

もっとも多い原因です。ヒトの口腔内は酸性ですが、犬の口腔内はアルカリ性のため細菌が繁殖しやすい環境になります。細菌が繁殖し、歯垢(しこう)や歯石(しせき)が蓄積し、歯肉に炎症が起こります。これにより悪臭が発生します。 歯周ポケットには嫌気性細菌が繁殖していき、歯を支える歯槽骨を破壊していき、次第に歯が抜け落ちてしまいます。

  • 歯垢:食べかすや細菌が歯に付着したもの(数日で歯石に)
  • 歯石:歯垢が唾液中のカルシウムと反応して固まったもの
  • 歯肉炎:食べかすにより細菌が繁殖して歯肉が炎症をおこして赤く腫れたもの

2. 内臓疾患

  • 腎臓病(アンモニア臭や尿のような臭い)
  • 肝臓疾患(血液に毒素が残り、口臭に影響)
  • 糖尿病(甘酸っぱい臭い)

これらは口の中ではなく、全身性の病気によるものです。

3. 食べ物

  • そもそも食べ物自体の臭い
  • おなかが空いている時や寝起きの時の生理的な臭い

これらは一時的な口臭の原因となります。

犬の口臭の診断

診察ではまず、必要に応じて検査していきます。

  1. 視診・口腔内チェック
    歯や歯茎の状態、歯石の有無、口腔内の傷や腫瘤(しゅりゅう:できもの)を確認します。
  2. 血液検査
    腎臓や肝臓などの内臓の働きに問題がないかをチェックします。
  3. レントゲンやエコー検査
    内臓の状態や、口腔内の深い部分の病変が疑われる場合に行います。
  4. 歯科用レントゲン
    全身麻酔下で詳細な歯の状態確認をします。

犬の口臭の治療

必要に応じて以下のような治療を行います。

歯周病による口臭の治療

  • スケーリング(歯石除去)、ポリッシング全身麻酔下で歯石や歯垢を除去してポリッシングします。
  • キュレッタージ:歯周ポケットに面する歯肉の炎症部分を掻把(そうは)除去する。
  • 重度の場合は抜歯:歯槽骨の吸収が70%に及んでいる場合(歯の根元まで炎症が及んでいる場合)には抜歯を行います。70%に及んでいる場合は処置しているとすぐに歯は抜けてしまう状態です。
  • 歯肉炎を改善する塗り薬:インターベリーαを週2回×5回=10回、歯茎に塗ることで歯周病細菌数を減らします。

※当院では、安全な麻酔管理のもと 歯科用レントゲンを行い、その後に歯科処置を行っています。

内臓疾患による口臭の治療

腎不全や肝疾患、糖尿病などが見つかった場合には、それぞれの基礎疾患の治療が必要です。
内臓疾患による口臭は、疾患が進行してから現れることも多いため、早期発見・早期治療が重要です。

食べ物によるものへの対処

  • 食事内容の見直し、変更
  • 食べたあとの歯磨き

まとめ:犬の口臭は口腔ケアが大切です

口臭を防ぐには口腔ケアを日々することが大切になります。

歯ブラシをすることが1番よいです。ただ、続けられるのは約20%の方と言われていますので、他の方法を考えていくことになります。

歯ブラシより精度はおちますが、例えばヒルズ製マルチケアデンタルについては総合栄養食でありながら、単独使用で歯肉炎を40%低減させる効果があります。

歯石除去でないと落とせない汚れがありますので、全身麻酔で行えば綺麗になります。歯石除去は中・高齢の犬に1時間ほどかけて全身麻酔を行って歯の表と裏をスケーリング等の処置を行います。全身麻酔で行いますので、血液検査・歯科用レントゲン検査・胸腹部レントゲン検査をした上で安全な麻酔処置のもと処置を行っています。

けんご動物クリニックでは、犬の口臭の治療を行っております。
気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

また、当院ホームページ内の歯科健康診断軟部外科・整形外科もあわせてご覧ください。

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