ブログ
Staff
スタッフブログ犬のブログ院長ブログ
犬のヘルニアについて
浜松市中央区にある動物病院の「けんご動物クリニック」です。
今回は犬のヘルニアについてご説明させていただきます。
当院ではヘルニアの治療を行っておりますのでお悩みの場合は一度ご相談ください。
犬のヘルニアとは
ヘルニア=ひとつの病気”ではなく、本来の場所から何かが飛び出してしまっている状態をまとめてヘルニアと呼びます。
ですので、首や腰のヘルニア、臍(さい)ヘルニア、鼠径(そけい)ヘルニア、会陰(えいん)ヘルニアなど、場所によって全く別の病気です。ヘルニアといっても場所によって言い表す病気がすべて違ってきます。
ヘルニアとは、筋肉や膜に“すきま”や“穴”ができて、そこから本来の場所にいるはずの臓器が飛び出してしまう状態のことです。
犬では以下の4つが特に多く見られます。他にも横隔膜ヘルニア、腹壁ヘルニアなどもあります。
● 椎間板ヘルニア
背骨の間にある「椎間板」が飛び出し、脊髄神経を圧迫して発症します。
ダックスフンドなどの胴長短足犬種に多いヘルニアです。
● 臍(さい)ヘルニア
おへそ部分の穴が閉じず、脂肪や腸の一部が皮下に飛び出す状態。「でべそ」と言うとわかりやすいかもしれません。
● 鼠径(そけい)ヘルニア
内股の太ももの付け根にある隙間から、腸や脂肪が飛び出す状態。左右2つ発生場所があります。戻ったり出たりを繰り返すことがあります。
● 会陰(えいん)ヘルニア
肛門の周囲(会陰部)にある筋肉が弱くなり、そこに隙間ができて、骨盤内の臓器が皮下に飛び出すヘルニアです。左右2つ発生場所があります。
中高齢の未去勢オス犬に多いことで知られています。
肛門の横がふくらむ、排便がしにくいなどの症状が特徴的です。
ヘルニアは種類によって緊急度が大きく異なり、放置すると命に関わるケースもあります。
犬のヘルニアの症状
ヘルニアの種類ごとに主な症状をご紹介します。
● 椎間板ヘルニア
- ジャンプしなくなる・飛び上がれなくなる
- 痛みで背中を触ると嫌がる
- 腰をかばっている感じがする
- 両方の後ろ足を引きずる
- 急に立てなくなる・歩けない
- 排尿・排便がうまくできない
症状の進行が早く、重症化すると手術が必要です。
● 臍ヘルニア
- お腹に柔らかいふくらみ
- 触ると押し込めることがある
- ちょうど挟まってしまい嵌頓(戻らなくなる)すると元気消失・嘔吐
● 鼠径ヘルニア
- うちまた・太ももの付け根にふくらみ。左右2か所。
- 硬く腫れる、触ると痛がり嵌頓すると腸が締め付けられ嘔吐、元気がなくなる。
● 会陰ヘルニア
- 肛門の横、脇がふくらむ
- 排便しづらい、いきむ
- 便秘を繰り返す
- 肛門の左右の形が非対称になる
膀胱が入り込むと排尿ができなくなり、命に関わることも
会陰ヘルニアは見逃せない疾患で、早期治療が非常に大切です。
犬のヘルニアの原因
● 椎間板ヘルニア
加齢による椎間板の変性、犬種的素因(ダックス・コーギーなど)、外傷、慢性疲労などが原因です。
● 臍・鼠径ヘルニア
生まれつき穴が閉じていない、外傷、肥満、妊娠などで腹圧が高まることで目立ってきます。
● 会陰ヘルニア
最も特徴的なのが
・未去勢オス犬
・中高齢
・前立腺肥大による腹圧の上昇
です。
前立腺が大きくなると腹圧が高まり、会陰筋が弱くなってヘルニア化します。
また、排便時の強いいきみが続く便秘体質の犬もリスクが高まります。
犬のヘルニアの診断
原因やヘルニアの種類により必要に応じて以下の検査を行います。
● 身体検査
ふくらみの位置、押した時の反応、歩き方、痛み、左右差などを確認します。
● 画像検査
- レントゲン:臓器の位置、骨盤や背骨の状態を確認
- 超音波(エコー):臍ヘルニア・鼠径ヘルニア・会陰ヘルニアの内容物の確認
● 神経学的検査(椎間板ヘルニア)
足の反射、痛覚、歩行状態などを詳細に評価し、病変部位を推測します。
● 直腸検査(会陰ヘルニア)
指診で会陰筋の状態や左右差、内容物を確認します。
犬のヘルニアの治療
● 椎間板ヘルニア
① 内科治療
安静(ケージレスト)、痛み止め、抗炎症薬、など。
軽症~中程度では改善します。
階段、ソファ、ベッドの昇り降りをやめて段差をスロープにすること、体重管理すること、フローリングをじゅうたんやカーペットにすることも、再発・悪化を防ぐために大切です。
② 外科治療
中等度〜重症で歩けない・深部痛覚消失の場合は手術を考慮します。
脊髄神経の圧迫部位の特定を行い、主に片側椎弓切除手術(ヘミラクトネミー)と造窓術を行い圧を開放します。脊髄神経の損傷が少なければ回復率が高くなります。
● 臍ヘルニア
基本的には手術で穴を閉鎖します。成長とともに小さくなっていく傾向にあります。避妊・去勢手術と同時に行うことが多く、負担を軽減できます。
● 鼠径ヘルニア
成長とともに小さくなっていく傾向にあります。基本的には手術で穴を閉鎖します。
将来的な嵌頓リスクを考えた場合、出たり入ったりの段階でも手術が望ましいです。
● 会陰ヘルニア
根治には外科手術が必要になります。
内容物を元に戻し、弱くなった筋肉を補強する手術を行います。
① 外科的補強
内閉鎖筋フラップ手術(坐骨内面の内閉鎖筋を剥離・反転させてヘルニア孔を補強・閉鎖する方法)や、人工メッシュを使って補強する方法を行っていきます。状況により腹腔側から補助的に結腸固定、精管固定、膀胱固定を行うこともあります。
② 去勢手術
未去勢オスでは同時に去勢手術を行うことで再発率を大幅に下げられます。
前立腺肥大を抑え、腹圧の軽減につながるためです。
③ 便通の管理
術後も排便管理が重要で、食事調整や下剤の併用が必要な場合があります。
まとめ
犬のヘルニアは、臍・鼠径・椎間板だけでなく、会陰ヘルニアも非常に重要な疾患です。
会陰ヘルニアは、
- 未去勢オス
- 中高齢
- 排便トラブル
がある場合は発症しやすく、悪化すると命に関わる可能性があります。
けんご動物クリニックでは、それぞれのヘルニアの種類に合わせて適切な検査・治療をご提案しております。また、臍・鼠径・椎間板・会陰ヘルニアの手術に対応しています。
浜松市で動物病院をお探しの方で、ふくらみ、歩き方の異常、排便トラブルなどが見られた場合は、お早めにご相談ください。
また、当院ホームページ内の、軟部外科・整形外科もあわせてご覧ください。

この記事の監修
袴田 健吾 Kengo Hakamata
けんご動物クリニック 院長・獣医師
浜松市出身。獣医師国家試験合格後、静岡県内の動物病院で経験を積み、「けんご動物クリニック」を開院。
犬・猫の一般診療から予防医療、歯科・皮膚科など幅広い診療に対応し、地域のホームドクターとして日々の健康管理から専門的な治療までサポート。
飼い主さまとペットの気持ちに寄り添いながら、「この病院に任せてよかった」と思ってもらえる診療をめざしている。




